2012年03月15日

浪江町「なみえ3・11復興のつどい」(1)請戸の田植踊り

[日時][2012]平成24年3月11日(日)9:30〜16:00
[場所]二本松市安達文化ホール・同広場
    二本松市油井字濡石1-2

震災から1年、浪江町民みんなが故郷を離れて迎える「3.11」は特別意味を持ちます。
一つは、3・11大震災によって亡くなられた方々への追悼の日です。
二つは、この1年を振り返り、さらに明日へ向かって進む一歩となる絆の確認の日です。
町民の心を一つに紡ぐため、全国に避難している多くの人たちが集まり、さまざまなイベントが開催され交流を深めました。

浪江町の震災被害死者182人、行方不明2人。

 田植踊りの早乙女を踊る紗彩(さあや)さんの父親・潤也さん(36才・請戸獅子舞の一員)は、消防団活動で最後まで浪江町民を救助しつつ行方不明です。
家族は心に区切りをつけるため昨日(10日)、特別な思いで潤也さんの葬儀を行いました。
紗彩は今日も美しく踊ります。

 田植踊りの中打ちとして太鼓を打ちながら踊る和佳奈さんは、大好きだったお爺ちゃんお婆ちゃんを亡くしました、そのこころの思いを綴ります。

伝統を受け継ぐ・横山和佳奈
 (2011)8月21日、私にとって忘れられない日になりました。
この日、私はいわき市小名浜のアクアマリンふくしまで、浪江町請戸地区に伝わる伝統芸能「請戸の田植踊」を踊りました。

会場には県内外に避難している浪江町内の人々が見に来てくれました。
中には、涙を流して見ていた人もいました。
私自身も請戸を思い出し、涙をこらえながら踊りました。

 あの3月11日、学校にいた私は、帰りの準備をしているところでした。
地震で机の中にもぐっていると、机ごと30センチくらい飛ばされました。

地震がおさまり、外に避難し、全校生徒の人数を確認し、津波が来るということですぐに大平山という山に走って逃げました。
やっとたどり着いた避難所で、「請戸地区」は全滅した」と聞き、すごく悲しくなりました。

次の日、請戸に帰ろうと思っていると、「原発が危ないから、一応逃げろ、浪江町から出ろ!」といわれ、みんな、「明日にでも帰れるだろう」という気持ちで「津島」という所に避難しました。

今考えれば、放射能の数値が特に高い所に避難し、そこで炊き出しをしたご飯を食べたなんて、とても恐ろしい事です。

 その後、私は郡山の親戚の家へ避難。さらに原発から逃げるように東京へと避難しました。

 このように、安全な場所を探して、浪江町の人々は日本全国にバラバラになってしまいました。
あの日を境に同じ請戸小学校だった友達とも地域の人達とも会う事ができなくなってしまいました。

 今年(2011)2月に行われた海の安全を祈願する安波祭りからわずか数週間後の出来事でした。
この日、私は地域の人や家族の人に見てもらうために、田植踊の練習を頑張ってきました。
当日もたくさんの人達が見に来てくれました。

 安波祭とは、豊漁を願う祭りで、みこしも出ます。みこしは各家庭を周り、最後に海に入ります。
私たち踊り子も各家庭を周り、最後に浜に出て踊ります。

こうして毎年大きな事故もなく、漁を行うことが出来ていました。
しかし今年(2011)は大震災の津波で私は家族や家などをすべてなくしました。
一緒に踊った踊り子たちも同じです。
今年(2011)の2月も皆で祈願したのに本当に悔しいです。

 私の請戸には、もう何も無いと思っていたところに、伝統を絶やしてはいけないと、さまざまな人達が立ち上がって下さり、8月21日にアクアマリンで復興公演を行うことになったのです。

 それを機に、離ればなれになっていた友達とも会うことができました。
田植踊りがあったからこそ友達との絆をより深められたのです。
そしてこのように導いてくれたのは、津波でなくなったじいちゃんが神様を大事にしていたからかもしれないと思いました。

請戸のためにも、津波で犠牲になった方々のためにも、私は伝統を引き継いでいきたいと思います。」

我々年寄りは過去を悔やみ涙するばかりだが、こどもたちがすでに希望を持って伝統を引き継いで生きていこうとしていることがうれしい。我々も明日に向かって進んでいかねば。

浪江3・11復興の集い12-03-11(11)請戸田植踊浪江3・11復興の集い12-03-11(11)請戸田植踊






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cjs0188 at 23:26│Comments(2) 福島県浪江町のお祭り・イベント | 福島県二本松市のお祭り・イベント

この記事へのコメント

1. Posted by やまがた   2012年03月16日 17:35
和佳奈ちゃんの発表した文章のアップ
ご苦労様でした。

こうやって、書き残してくれると
すごく助かります。
(聞きそびれていた所もありましたし)

ところで、2月19日の田植え踊りの時
早乙女が下駄を新調していたのを覚えているでしょうか。
浅草の靴屋さんからの支援と聞いていたのですが
ふとネットを調べていたら記事が出ていました。
http://getaya.exblog.jp/15440737/

ありがたい事ですよね。

2. Posted by ぎゅうちゃん   2012年03月16日 18:28
やまがたさんへ
今言われて気づきました、2月19日北幹線仮設住宅での踊りの後に、踊り子が半円になって足元をそろえて写真を撮っていました。何故?と思いつつ撮影はしたものですが、それだったんですね。
おっしゃるとおり、ありがたいです。すべて流され何も無いところから田植踊りを復活させるために全国の皆さんの支援をいただいたことに感謝致します。
衣装、花笠、下駄・・・

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